石州の赤い瓦や内部のベンガラが塗られた表し天井が造りの良さを証明しているお勧めの一軒です。
数年内での大きな修繕は不要な美邸です。

国道沿いの少し高台に建っており、道路側の庭木のおかげで目線を遮ることが出来、プライバシーの確保はなされています。
古瓦の埋め込まれたアプローチ、手入れのされた庭木、その中に浮上がるように建つ赤い屋根の建物は通りから非常に目を引くもので、大変美しく感じます。
玄関をはいると朱色に塗られた天井の桁組も美しく、ケヤキ材7寸角、6寸角の大小黒柱が両脇に建ち、4方向からの差鴨居を強固に支えています。ケヤキ板で作られた床の間、広縁の桜床板、天井踏み板を支える地松の二段桁など、大工の拘りが垣間見える造りです。
物置になっている小屋裏は合掌組ですが見事に木組されており、当時のチョウナの加工跡も見て取れます。

現状では、建物のコンディションは上々ですのでしばらくはこのままで十分に利用可能だと判断致します。駅にも近く利用性もいいので、使われながら後世に残していきたい建物です。
また、今回の鑑定外ですが別棟の蔵に関しては 外壁周りへの何らかの対策が急がれると思います。