そして、三人で貯めたバイト代300万円だけを手に、2014年4月に札幌に移住。メンバーの河嶋さん・柴田さんは北海道出身だったが、それでも慣れないことばかり。最初の数週間は、ただひたすら市内を歩き回って、自分たちのゲストハウスにふさわしい物件を探して歩いた。
すると、高齢化とともに主を失った空き家が、街中に点在していることに気が付いた。
「空き家が増えることは、灯りのついていない建物が増えることで、街がどんどん暗くなってしまうんですよね。それってすごく寂しいことだなと思って」代表の河嶋さんは、古民家を再利用することへの強い想いをこう語ってくれた。
最 終的に三人がたどり着いた物件は、豊平区にある築およそ五十年の古民家。一階には、二十三年間営業を続けるスナック『香木』が入っており、毎晩地元の人び とが深夜まで酒を飲み明かしている。ここにゲストハウスをつくることで、世代や国境を越えてお酒を酌み交わしながら話すことができる『居場所』を作れると 考えている。